「どうにかなるさ、なんとかなる ―還暦過ぎた夫婦の初めてのスペイン・ポルトガル旅―」(1)<連載>

B&Bカフェやまがら文庫オーナー・前田直さんが綴るスペイン・ポルトガル旅行記・第一回目です。

数年前、TVでスペイン巡礼の旅番組を見た。スペインにも巡礼道があることを初めて知り、いつか余裕(金と時間)ができたならスペインの巡礼道を歩こうと、夫婦で話していた。

そんな私たちの前に、スペイン巡礼を経験したという名古屋市からUターンして来たOさんご夫妻が現れた。会えばいつも巡礼の話題で盛り上がり、ご夫妻は私たちの背中を押した。そうなれば、気持ちは次第にスペイン巡礼へと膨らみ、ついに私と妻は決心した。

準備期間は1年半、スペインのガイドブックや巡礼関係の書籍を読み、ウォーキングの訓練、旅費の工面をした。

「スペインではオラーと言っていれば大丈夫」と言うOさんの言葉を信じ、還暦過ぎの私たちは平成29年5月15日、成田からマドリッドへ飛び立った。

5月16日の昼前、ようやくマドリッド・バラハス空港に着き、私たちの「どうにかなるさ、なんとかなる」の旅が始まった。

幾つかある巡礼道の中で、最も人気のあるフランス人の道(仏国サン・ジャン・ピエ・ドゥ・ポールから820km)を、スペインのナバーラ州パンプローナからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの720kmの道程を歩くことにした。

途中からの巡礼ではあるが、今まで歩いたことのない距離である。それも頼りは巡礼ガイドブックと巡礼地図だけで、喰う、寝る、歩く以外は初めてのことばかり。巡礼者の宿泊施設(アルベルゲ)がどんな宿なのか知る由もない。

巡礼が始まる前日の5月17日、初めてパンプローナのアルベルゲに泊まった。

人口約20万人のパンプローナは、牛追い祭で世界的に有名である。アルベルゲは公営で100人も泊まれる大きな施設。大広間に二段ベッドが並ぶ男女相部屋である。

私たちは宿のチェックインから戸惑いの連続で、前の巡礼者の手続きを真似、緊張しながらどうにか一人5ユーロの宿泊料を支払って手続きは終った。

うす暗い部屋の指定されたベッドに行き、隣のベッドを見ながら寝袋を広げ、頭をどっちにするのか、リュックは何処に置くのか等々、ベッドメーキングにぎこちない。

そうしているうちに上段のベッドに巡礼者がやってきた。英語圏の白人の若い女性で、家族でピレーネ山脈を越えて来たようだ。手慣れたもので、ベッドにシーツを敷き、その上に寝袋を広げ、枕にカバーを掛け、あっという間に観光に出かけて行った。

私たちも見様見真似でようやくベッドメーキングを終えた。次は洗濯やシャワーが待っている。どこに何があるのかまずは建物内の視察をする。薄暗い廊下を進むと、裏庭に面した細長い部屋にトイレとシャワーが並び、窓際には洗面所と洗濯場が並んである。

トイレ、シャワーは全て男女共用で、パンツ姿の男性が数人の女性と話しをしながら洗濯をしていた。突然、シャワー室の扉が開くと、Tシャツに下はTバック姿の女性が出てくる。いくら年を重ねた私でも日本男児として目のやり場がない。

次にトイレに入ると、便器に便座が無い。どうやって用を足すのかと悩んでしまった。洋式の便器に中腰で腰を浮かせ、どうにか用を済ませることが出来たが・・・?

次に中庭の洗濯物干し場に出て見ると、男女の下着が入り乱れて干されている。特にカラフルな女性用は堂々と真夏の太陽を浴びている。自分のパンツはさりげなく人目忍んでロープの端に吊るしたがこんな生活が2~3日も続けばすっかり同化されて当たり前の生活となる。

(つづく)


(やまがら文庫の様子)

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