B&Bカフェやまがら文庫オーナー・前田直さんが綴るスペイン・ポルトガル旅行記・第二回目です。
食事は基本的にはバールという食堂かレストランで食事することになる。私たちはバールでメヌー(定食)をよく食べた。
このメヌーは3つの皿の料理にパンとワイン1本、又は水が1本付き、約10ユーロ(当時、1ユーロ124円)と安い。1つ目の皿はサラダ又はスープ類、次に2つ目の皿は肉か魚か卵料理のいずれか。3つ目の皿はデザートでアイスクリーム、プリン、果物等から選ぶ。私たちはお互い別の料理を注文していろんな味を試した。
メヌーは私たちの口に合ったが、どの店も同じような料理なので毎日となると飽きてくる。そんなときはパエリア等の単品料理を注文するが、かなりの割高になる。
キッチン付きのアルベルゲでは、マーケットで具材を購入して調理した。巡礼者はそれぞれ自国の料理に腕を振るい、中には味見をさせてくれる人もいた。キッチンには巡礼者が置いて行った各国の調味料等があり自由に使用できたが、醤油はなかった。朝食は、出発が早いためにパンにハム、野菜などの軽い食事となった。
5月18日にパンプローナを出発してからは、午前は巡礼道を歩き、12~13時頃にはアルベルゲに入る。シャワーを浴び、洗濯をし、バールでビールを飲みながら昼食をとるのが日課になった。それから夕食の7時頃までは、昼寝や散歩などでゆっくり過ごす。(スペインでは午後2時から4時までは昼休み時間なので店は閉じてしまう。)
約1ヶ月間このような旅をし、6月16日に巡礼目的地のサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着した。巡礼事務所で巡礼証明書を発行して貰い、キリストの弟子、聖ヤコブが祀られているカテドラル(大聖堂)のミサに参列し、待望のボタフメイロ(大香炉)の儀式も見て、興奮と感激の中で巡礼は終わった。
私たちは50日のスペイン旅行のうち40日を巡礼にあてていたが、10日も早く巡礼が終わった。そのために20日間も自由に観光旅行が出来ることになった。
巡礼の締め目くくりとして、サンティアゴから約120キロ先の大西洋に面した地の果てフィステーラの岬まで行って、全ての巡礼の旅を終えることにした。
せっかく来たスペイン、そこからさらに、私が前から行ってみたいと思っていたアンダルシア地方、妻の希望のバルセロナ、ついでにポルトガル観光をしようとなった。
これまでは比較的安全な巡礼路を巡礼仲間の励ましや、オスピタレイロ(巡礼宿の世話人)のお世話になって来た。
しかし、これからは二人旅だ。妻のほんの少しのスペイン語と、慣れないスマートフォンを頼りに私たちの「なんとかなるさ、どうにかなるさ」の旅がはじまった。
(つづく)
(やまがら文庫の様子)
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